今日は上司にこっぴどく怒られてしまった。
私が悪いわけじゃない。
同僚のミスを上司が私のミスだと勘違いしたのだ。当の同僚は知らんふり。
ちょっと美人で媚びるのが上手な同僚は上司のお気に入りだから、もしも上司が勘違いしなかったら、上司は怒ることなく、ミスのフォローを私に押しつけただろう。
私は結局、同僚のミスを全て修正したが、勘違いの修正まではできなかった。
ずいぶんと遅い時間に随分と疲れて重くなった体を引きずりながら、家路へと急ぎ、化粧も落とさず、そのままベッドへと倒れこんだように眠った。
起きたのは明け方。今日は土曜日で仕事もない。
このまま眠り続けようかと思ったけれど、昨日の疲れや理不尽な怒りのストレスを発散したい私は無性に唐揚げが食べたくなった。
こんな朝からなんてヘビーなものを食べたいと思うのだろう。我慢しようと思ったが、やり場のない怒りを唐揚げで発散したい気持ちが勝った。
でも、材料は家にないし、まだスーパーはオープンしていない。
私は洗面台で顔を洗い、ファンデーションを塗ることすらセずコンビニへと向かう。服は面倒くさかったから昨日のままだ。
疲れていて、面倒だった。
朝早くのコンビニはホットスナックはまだ作られておらず、おじさんの店員がいるだけ。
私は惣菜コーナーに行ったが、売り切れだ。なら、冷凍食品のコーナーだ。だが、ここにもない。
こんなことってあるのか?
どうしても唐揚げが食べたい。今から、ちょっと遠い24時間営業のファストフード店二でも行けばいいのか?
それは嫌だ。こっちは化粧していないし、髪もボサボサで服も昨日のままなのだ。近所だから酷い格好で来れたのだ。きちんとした格好をする気力がない。
だが、ストレスを解消したい私の心と体は唐揚げと頑なに叫び、冷凍のフライドポテトで妥協してくれそうにない。
そんな時に魚肉ソーセージを見つけた。
そうだ、前にYouTubeで魚肉ソーセージの唐揚げを見つけたっけ。
鶏肉ではないけれど、唐揚げには違いない。
私はスマホを取り出し、前に見た魚肉ソーセージの唐揚げの動画(一人前69円。魚肉ソーセージで鶏より旨い奇跡の【やけくそ唐揚げ】作ります - YouTube)を見つけ出し、レジへと向かった。
家に戻った私は早速、作る前に部屋着に着替えた。
材料は魚肉ソーセージ2本、醤油大さじ1、酒・みりん小さじ1、にんにく2/1かけ、かたくり粉・サラダ油適量と家にあるものばかりだ。
魚肉ソーセージを開け、縦半分に切り、格子状の切れ目をいれて、5等分していく。
可愛くて、媚びるのが上手で仕事のできない同僚の顔もこんな風に格子状になればいいのに。
フツフツとした怒りがまた蘇ってくる。
すりおろしにんにく1/2、しょうゆ大さじ1、酒・みりん小さじ1、味の素3振りを混ぜ合わせたタレに魚肉ソーセージを入れ、15分放置する。
ここまでの作業で少しは頭がマシになった私はシャワーを浴び、部屋着へと着替え、冷蔵庫から取り出した酒をコップに注いだ。
缶から直接飲むのはなぜかあまり好きじゃない。
あー、なにかおつまみが欲しいな。
あ、そうだ。唐揚げを作っている途中だった。シャワーでスッキリしたせいかすっかり忘れていた。
フライパンでサラダ油を温めている間に、皿に山盛り大さじ2の片栗粉を入れて、魚肉ソーセージに絡めていく。
それで、魚肉ソーセージがカリカリになるまで揚げていく。
油の音、広がるにんにくの香り。
変わっていく衣のかたくり粉の色と固さ。
私はいつの間にか無心で魚肉ソーセージを眺めていた。
この無心の時間が好きだ。
だから、唐揚げだったのだろうか。
揚げている時は無心になって、揚げ具合を確認する。この時間が欲しかったのだと思う。
キッチンペーパーの上に並べ、油を切る。
レタスと一緒に皿に盛った。動画ではレモンと言っていたけれど、冷蔵庫にかろうじてレモン果汁があるだけだ。まぁ、これでもいいだろう。
衣はカリカリで、にんにくの風味と醤油の味もしている。味と衣の食感はちゃんとしたからあげだ。
そして、ちょっとだけ甘さのある魚肉ソーセージとこのタレのしょっぱさがよく合っている。
酒がどんどん進む味だ。
飲みながら、また昨日のことを思い出す。
怒りはあるが、社会人になってから社会とは理不尽と不条理でできていることはしっかりと理解している。
怒りが冷めるのを酒を飲み、ギョニソの唐揚げを食べながら待つだけだ。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
レシピ動画
一人前69円。魚肉ソーセージで鶏より旨い奇跡の【やけくそ唐揚げ】作ります - YouTube
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