普段、何気なく食べているようかんですが、歴史やルーツはご存知ですか?今回はようかんの始まりから現代にいたるようかんの歴史を中心に紹介します。
知識を深めてから、ようかんを食べればさらにおいしくなること間違いなしですよ!
- ようかんの始まりと由来
- 羊羹の歴史・室町時代編
- ようかんの歴史・戦国時代編
- ようかんの歴史・江戸時代編
- 羊羹の歴史・明治・大正時代編
- ようかんの歴史・昭和(戦中)編
- ようかんの歴史・戦後から現代編
- たまにはようかんを食べよう
ようかんの始まりと由来
ようかんは漢字で書くと羊羹と書きますが、これは中国語で羊肉の汁ものを意味する言葉になります。
羹はあつものと読み、とろみがある汁料理のことを指し、元々のようかんは羊肉のとろみがついたスープ料理でした。
羊羹を日本に伝えたのは鎌倉時代から室町時代に大陸に留学していた禅僧で、精進料理として伝えました。
小豆や小麦といった植物性素材で練った餡を羊肉に見立てた汁ものが日本におけるようかんの始まりです。
羊羹の歴史・室町時代編
室町時代のようかんは禅僧が食べる汁料理でしたが、砂糖が入ったものは砂糖羊羹と呼ばれました。当時、砂糖は明からの輸入に頼っていたので、貴重品でした。
禅僧から貴族や武家にようかんが広がっていき、宴会などで出されました。
この時点ではまだ今のようなお菓子ではなく、汁料理ですが、汁のないバージョンもあったようです。
室町時代中期の礼法書「今川大双紙(いまがわおおぞうし)」にはようかんは海藻と食べるという記述があるので、現在とは似ても似つかない食べ物です。
ようかんの歴史・戦国時代編
お菓子としてのようかんは戦国時代後期に茶会や宴会に出された記録が残っていますが、現在のような甘い味付けかどうかは不明です。
作り方は小豆や小麦粉、砂糖が入った餡を蒸してから、こねたりついたりしてから形を作ったようです。
その後、簡略化され材料を蒸しただけのものも登場し、これが現在まで残る蒸しようかんです。
この頃のようかんはお菓子とおかずの両面を併せ持っています。また、公家や武家、僧侶らが宮中にようかんを献上していた記録も残っています。
ようかんの歴史・江戸時代編
江戸時代になると、食事としてのようかんは姿を消し、お菓子になりました。
当初はようかんと砂糖ようかんの2種類だったのですが、ようかんは黒糖、砂糖ようかんは白砂糖が使われており、砂糖の種類の違いでの呼び名になります。
のちに、ようかんは白砂糖がポピュラーになったのか砂糖ようかんという言い方はなくなり、ようかんに統一されます。
これは、江戸時代になると国内で砂糖の入手が容易になったことも背景にあります。
水ようかんと練りようかんの誕生
ようかんはあんを小麦粉で蒸して作るのが一般的でしたが、江戸時代には柔らかいタイプの蒸しようかんが発明され、水ようかんの原型となりました。
その後、寒天であんを固めて作る製法が発明され、現代の水ようかんと練りようかんが誕生しました。蒸しようかんより日持ちするため、贈答品として重宝されたようです。
当時の練りようかんは高価で、江戸幕府の行事や外交での菓子としても使われ、この頃には栗やごま、さつまいもを使ったようかんも誕生していました。
もちろん、庶民の間にもようかんは広がります。当時の水ようかんは現代のように夏場に食べるというイメージはなく、通年で食べていたようです。
羊羹の歴史・明治・大正時代編
ようかんの製法は江戸時代に全て出尽くしたので、新たな製法は明治時代以降はありません。しかし、ようかんはさらに発展していきます。
その要因となるのがが鉄道の発達や博覧会の開催です。
青森の昆布ようかん、秋田県の梨ようかんなど各地の名産を使ったようかんが作られるようになり、土産やご当地名物となりました。
江戸時代には季節アイテムではなかった水ようかんですが、明治後期から大正初期には水ようかん=夏のものというイメージが定着しています。
ようかんの歴史・昭和(戦中)編
慰問品としてのようかん
1940年には砂糖は配給制となった上に、太平洋戦争が始まると釜などの金属は供出せざるを得なくなり、原材料の不足もあり、休業や廃業をする菓子屋も多くありました。
物資が乏しいため、小豆の濃度を減らして製造されていたそうですが、この時期は慰問品としてお菓子類が戦地に送られており、ようかんは日持ちすると重宝されました。
慰問品として贈られる以外にも和菓子屋は軍からの要請を受け、ようかんを製造し、戦艦でもようかんが製造されていました。
容器について
ゴム風船にようかんを詰めた玉ようかんも慰問用にこの頃に開発されたようかんです。
他にも缶詰もありましたが、物資不足のため、紙の箱にアルミ箔を張ったものを缶詰代わりに使ったようです。
ようかんの歴史・戦後から現代編
戦後、統制が解かれ物資不足も解消され、戦前のようにようかんづくりが再開されました。
高度経済成長期にはおやつ用として個食タイプの缶詰やプラスチック容器入りの水ようかんが発売されましたが、お歳暮など贈答用には細長い大きなサイズが好まれました。
ただ、現在では核家族化が進んだこともあり、個包装タイプが好まれ、主流にもなっています。
さらに進化するようかん
ようかんは宇宙食にも採用され、災害用の備蓄食品用の長期保存可能なようかんも販売されています。
また、フレーバーについても洋酒やチョコといった洋のものを取り合わせたものなど様々あるのも特徴です。
たまにはようかんを食べよう
ようかんは室町時代頃にスープ料理として伝わり、気がつけばお菓子として日本に溶けこみ、馴染んでいます。
今では災害用備蓄食としても発売されており、機能性の高さも見逃せません。今後も様々なフレーバーが生み出され、楽しませてくれること間違いなしです。
時々はようかんの歴史を思い出しつつ、食べましょう。
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